ビール醸造機・導入事例 「 RE.beer 様(東京池上)」
東急線池上駅より徒歩2分。RE.beerは株式会社大鵬が運営する池上本門寺の参道入口に位置する和がテーマの地域密着型ブルーパブ。醸造したてのクラフトビールや豊富な日本酒が楽しめるお店です。このRE.beerがtinyJbrewを導入したきっかけや効果を大屋社長にうかがいました。

池上に根ざした醸造所付き飲食店
地元に密着した、醸造所が見えるお店を作りたかったというのが原点です。池上本門寺のお膝元という立地を活かし、日本人が食べ慣れ親しんだ和食にクラフトビールを合わせる「寺町にあるべきお店」をコンセプトに設定。池上のランドマークとして地域の人々が集う場所になることを目指しました。
やはり飲食店としてだけでなく、店内でビールを造っているという独自性が強みとなっていますね。大手企業では造れない一回限りの特別なビールや、地域とコラボレーションしたビールなど、細やかな展開ができるので、「ここでしか飲めない一杯」を実現できています。もちろん一般的なビールも提供していますが、クラフトビールを集客コンテンツの一つとして活用しています。

東京ドームから始まったビール人生

16歳から東京ドームでビールの売り子として働き始め、その後も居酒屋でアルバイトをするなど、食に関わる仕事を継続して、気がつけば飲食業が生業となっていました。
とにかく東京ドームでの経験が大きかったですね。あそこで独自のマーケティング視点を学びました。ビールを飲む瞬間のお客様の表情、飲み終わるまでの顔つきを観察していて、お酒が好きな人と苦手な人を見分けることもできるようになりました(笑)。特に、暑い日の球場で見せる幸せそうな顔が印象的で、身近な幸福を提供する仕事の価値を実感しました。
ビール醸造にこだわるのは、料理人がビール造りをすることで最高のマリアージュを生み出せるからです。そうすれば、あの幸せそうな顔がもっとたくさん増えますしね。

海外製から国産醸造機へ
最初は天空橋のお店にスロベニア製の醸造機を導入しました。ところがこれが購入から設置までトラブルだらけでした。
図面だけで高額な前払いを要求され、船便で5か月待ち、到着1週間前まで連絡なしという状況。やっと搬入できるとなったときに、既に店舗が入るビルのクレーンが撤去されており、男性8人で階段を担ぎ上げるなんてこともやりました。
この感じだと、もし故障したら直るまで何ヶ月かかるかわかったものじゃないと不安に。実際に多くのブルワリーが自力で修理している現状も目の当たりにしてきましたし。
そこで、大田区の町工場の技術力を活用して国産醸造機が造れるのではと考えて、工業団体の集まりに足繁く通い、3年かけてクラフトワークスさんという理解ある会社と出会うことができました。
tinyJbrewの開発、そして導入

tinyJbrewの開発では、使用時の不安感をなくすことを最優先に設計してもらいました。最大の改良点は作業時間の大幅短縮ですね。従来7〜8時間かかっていた工程を4〜5時間に短縮してもらうことができました。人件費を考えると、これはものすごく大きかったです。

麦汁が詰まりにくい構造だとか、空気接触を最小限に抑える高い密閉性だとか、クラフトワークスさんが本当に満足いく品質に仕上げてくれました。
狭小な醸造所スペースに合わせたコンパクト設計なので作業しやすいですし、メンテナンス性が抜群にいい。こうした改良により、職人が本来のビール造りに集中できる環境を整備できました。

ブルワリーがもたらす相乗効果

単純な飲食店と違って醸造所の併設は設備投資は増えるし、酒税免許関連の書類作りも増えますが、その代わり人脈の広がりは圧倒的に違ってきます。飲食店だけではB to C中心ですが、醸造事業により予想外のB to B取引が発生して、ビジネスチャンスが拡大しています。例えば、取引先の信用金庫からの紹介で全国の50種類以上の地域とコラボビール開発を行っています。
ここ池上は蒲田と五反田の中間で集客しづらい立地ですが、クラフトビール目当てで足を運んでくれるお客様が増えてきています。メディア取材も増え、「ここでビール造っている」という認知が年々向上しているのを実感しています。

障がい者雇用と地方展開による社会課題解決へ

将来的な展望として、障がい者雇用の実現を最重要目標に設定しています。ガスの火を使う醸造では就労支援施設から「危険」と指摘されてしまいましたが、tinyJbrewは電気式で、安全に作業することができます。DX対応も含め、障がい者が使いやすい設計と片付けのしやすさも考慮して開発してもらっています。
東京は発信拠点としていいのですが、私は地方にも興味があって。地方には場所も物産も水質も良い環境があり、ぜひ各地で醸造所を展開できるといいなと思っています。
醸造所は地方の深刻な雇用不足と障がい者就労の課題を同時に解決することができるのではと考えているんです。小ロット生産の特性を活かし、地域密着型で様々な人が関われる醸造所モデルを全国へ展開していくことが私の夢です。

ビール醸造機配置図

RE.beer アクセス
RE.beer
住所:東京都大田区池上4-31-16
電話:03-6410-6778
営業時間:11:30〜23:00

